納戸で見つけたBELL’S──ウイスキーは瓶で熟成するのか?

1 お酒に関するあれこれ

序章:納戸で出会ったBell’s 12年

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いやはや、人生には思わぬ宝探しが潜んでいるものだ。
先日、納戸を整理していたところ、埃をかぶった瓶を一つ発見した。
ラベルには“BELL‘S 12年”と書かれている。スコッチウイスキーである。
ところが不思議なことに、私にはこれを買った記憶が全くない。
容量750ml、アルコール度43%とくれば、少なくとも20年以上昔の代物だろう。
よほど酔った勢いで買ったのか、あるいは誰かの置き土産か……

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ともあれ、出会った以上は試さぬわけにはいかぬ。
さっそく氷を浮かべ、ロックで口に含むと
――おお、驚いた!すこぶる美味しいではないか。
柔らかくも奥行きのある味わい。まるで古い友人に再会したかのような気分になった。

💬 ランディ君
「BELL’S(ベルズ)は、イギリス国内で長年人気を誇るブレンデッドスコッチです。
12年物はすでに生産終了となっており、現在は入手困難なボトルになっています。
参考までに、オークションや古酒専門店では数千円から数万円で取引されることもあるようです。
出典:Whiskybase – Bell’s 12 Year Old

BELL‘SとBallantine’sを飲み比べて

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なるほど、どうやら私の納戸はタイムカプセルだったらしい。そこで、手持ちのBallantine’s 17年と飲み比べてみたのだ。するとどうだろう、BELL‘Sの方が色も濃く、味わいに熟成感がある。これは実に困った疑問を呼び起こす。“ウイスキーは瓶の中で熟成するのか?”

ウイスキーの熟成はどこで起こるのか?

💬 ランディ君
ウイスキーの熟成は、蒸留後に樽の中で行われます。
樽材に含まれるリグニンやタンニン、バニリンといった成分がアルコールに溶け出すことで、色や香味が深まります。
ところが瓶詰めされた後は基本的に“熟成は止まる”とされています。
イギリスのスコッチウイスキー協会(Scotch Whisky Association)も、“瓶詰め後に年数が増えることはない”と明言しています。
出典:Scotch Whisky Association – FAQs

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うむ、しかし実際に口にしたBELL‘Sは、Ballantine’sよりも奥行きがあったぞ。
これはどう説明すればよいのか。
瓶の中で眠っていた20年の歳月が、やはり味を変化させたのではあるまいか。

熟成ではなく“瓶内変化”?

💬 ランディ君
実は“瓶内熟成”ではなく“瓶内変化”という表現が適切かもしれません。
ウイスキーは高アルコールのため、ワインや日本酒のように熟成が進むことはありません。
しかし、酸素の微量な侵入や揮発、成分同士の反応によって風味がわずかに変化することは報告されています。
特に長期保存では、“まろやかになる”と感じる人も多いようです。
出典:Difford’s Guide – Does whisky age in the bottle?

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ふむ、つまり“熟成”ではなく“変化”なのだな。
しかし、その変化が心地よい味わいを生み出すのならば、我々飲み手にとっては細かい定義などどうでもよいではないか。
だいたい、樽熟成の年数にこだわるのは人間の悪い癖だ。
瓶の中で20年過ごしたBELL‘Sを、私は勝手に“32年物”と呼んでやりたいのだ。
いや、納戸でひっそりと眠っていた年月を思えば、“家内制熟成”と名付けてもよいかもしれぬ。

ワインや日本酒との違い

💬 ランディ君
ただし誤解のないように整理します。

  • ワインや日本酒は醸造酒であり、瓶の中でも熟成(酸化や旨味成分の変化)が進みます。
  • ウイスキーなどの蒸留酒は、基本的に瓶詰め時点で熟成が止まります。
  • とはいえ、保存環境や時間の経過で風味が“丸くなる”“違った表情を見せる”ことはあります。

つまり、科学的には“熟成ではない”けれど、体験的には“美味しくなることがある”というわけです。

結論:科学の正解と飲み手の実感

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なるほど、学問的にはそうだろう。
しかし私はあえて断言したい。
“私のBELL‘Sは、確かに納戸で時を重ね、私の舌を喜ばせたのだ”と。酒の世界においては、正解よりも実感の方が大事なこともある。
なにしろ飲むのは学者ではなく、私なのだから。

まとめ

  • BELL’S 12年を納戸から発見、20年以上眠っていた。
  • Ballantine’s 17年と比較すると、Bell’sの方が濃く熟成感があった。
  • 蒸留酒であるウイスキーは瓶内で熟成は進まないが、保存環境による“風味の変化”はあり得る。
  • ワインや日本酒は醸造酒であり、瓶熟成が一般的。
  • 最終的には「科学の正解」と「飲み手の実感」が交わるところに楽しみがある。

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