健康が気になるお年頃に
😏 私
還暦を過ぎると、体のあちこちが独立運動を始める。
朝起きて鏡を見れば、顔色は新党、腰は野党、膝は内閣不信任である。
そんな折、「何か健康に良いことを始めよう」と思ったのが運の尽きだった。
世の中には、想像以上に「健康教」の信者が多いらしい。
飲み会の席でその話をしたら、周囲が一斉に布教を始めた。
「発酵食品が腸にいいですよ」「朝の白湯が最高です」「いやいや、毎朝スクワット100回が基本です」――まるで健康宗派の合同説法である。
全員の助言を実践したら、1日24時間ではとても足りない。
しかも、健康教には「楽して健康になる宗派」と「苦労して健康になる宗派」があるらしい。
楽する派と苦労する派の違いとは?
💬 ランディ君
その分類は、統計的にも少し裏づけがあります。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(令和5年)によると、健康維持のために「食事改善」に取り組む人は54.3%、「運動習慣を持つ人」は34.6%でした。
つまり、日本人の過半数は「楽する派」寄りということになりますね。
出典:厚生労働省 国民健康・栄養調査 令和5年
😏 私
なるほど、楽して健康になりたい人が過半数とは、まことに人間らしい数字だ。
私も以前、スムージー宗派に入信したことがある。
毎朝、ケールやバナナをミキサーに突っ込み、「健康的な音」を聞きながら出勤していた。
しかし三日目には、ミキサーの洗浄という苦行に敗北した。
健康よりも洗い物のストレスで不健康になる。
一方、苦労する派の人々は、運動を信仰している。
朝のジョギング、ジム、ヨガ、ウォーキング、ストレッチ。
私も一時期、ジョギング派に入信していたが、やり過ぎて膝を痛めた。
「健康のために走って膝を壊す」というのは、実に哲学的である。
やりすぎ健康法の落とし穴
💬 ランディ君
実際、運動による故障は中高年層で増えています。
スポーツ庁の「体力・運動能力調査(2023年)」によると、50代以上の約12%が「運動中のけが・痛みを経験」と回答しています。
また、医師の間では「オーバーワーク症候群」と呼ばれる運動過多の弊害も指摘されています。
出典:スポーツ庁 体力・運動能力調査 令和5年
😏 私
やはり「やりすぎは健康の敵」らしい。
思えば、長く元気に生きている諸先輩方は、特別な健康法などしていない。
快食、快眠、適度な労働、そしてほどほどの人付き合い。
どれも地味だが、宗派対立とは無縁の穏やかな日常だ。
「健康は目的ではなく、結果だ」と言いたげな生き方である。
健康を気にしすぎることの皮肉
😏 私
ところが、最近友人にそう話したら、こう返された。
「でもね、あまりストレスのない生活をすると、ボケるよ」
――なんという逆説的な教義だろう。
健康を追うと疲れ、休むとボケる。
もはや、人生とはバランス感覚の宗教である。
まとめ
- 健康法は「楽する派」と「苦労する派」に分かれる。
- 日本人の過半数は「食生活改善」などの“楽する派”。
- 運動過多で体を壊す中高年も増加中。
- 結局、快食・快眠・適度な労働と人付き合いが一番自然。
- 健康も宗教も、ほどほどが一番。
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