美容クリニックの受付で見た“仕組みの現場”
😏 私
「受付からして、ここは“美容”というより“仕組み”の見本市だな。」
予約当日、指定された時間の15分前に到着。LINEでの受付登録を済ませると、院内は意外に活気づいていた。驚くことに、男性は私ひとり。しかも周囲の女性陣は意外と若い。20代、30代——まさに“美意識の最前線”である。
💬 ランディ君
「市場構成比で言えば、顧客セグメントの偏りが著しいですね。」
😏 私
「言い方よ。ここでは“勇気ある少数派”と呼んでくれ。」
LINEで完結、のはずが…
スマホ上ですべて事前に入力したはずなのに、受付カウンターにはスタッフが3名。タブレットと紙を前に忙しそうだ。
受付で問診票の確認をすると、思わぬ条件が提示された——“XまたはInstagramでフォロー&いいね”をすれば割引適用、とのこと。なるほど、フォロワーを初期段階で獲得するSNS戦略だ。価格よりも拡散力を優先している。
😏 私
「なるほど、安さの裏には“拡散コスト”が隠れているわけか。」
💬 ランディ君
「広告宣伝費を顧客の指先に委ねたわけですね。効率的です。」
診察室の中の“経営構造”
😏 私
数分待って、診察室に通されると、そこにはHPで見た院長と看護師が一人。看護師がパソコンにカタカタ入力し、院長は私の顔をルーペでのぞき込む。まるで監査とデータ入力が同時に進む経営会議のようだ。
💬 ランディ君
「つまり、医療行為とバックオフィス業務がリアルタイム統合されているわけですね。」
😏 私
「うむ。効率化の鬼だな。」
院長の説明と価格設定のロジック
予診内容の確認が終わると、院長は淡々とした口調で説明を始めた。
💬 院長
「この大きいシミは今回の治療では難しいですね。何回か施術して、その過程で調整していきましょう。ただし、シミの種類によって違うので何回かかるとは言えません。」
「また、このコースでは1回でシミは取らず、何回か治療を行い、その過程で治療の方向性をどうするか相談する方針です。」
さらに、
「あなたのシミは大きいので1回では無理。何回か治療して、より良い提案をしたい。」
とのこと。
😏 私
「なるほど、変動費が読めないモデルというわけだ。」
シミ取りの話が進みそうなので、私が料金の話を切り出すと、院長はペーパーを取り出し、見せながら説明を始めた。
💬 院長
「美顔レーザー5,400円と、シミ取り放題5,400円を一緒にすると6,500円になります。」
「もちろん別の治療法もあります。」
😏 私
「なるほど、“単体で買うと損した気になる設計”か。」
💬 ランディ君
「つまり価格のアンカリング効果を活用しているわけです。心理的には“まとめ買いで得した感”を演出しています。」
😏 私
「マーケティングの現場をこの距離で見られるとは思わなかったな。」
自由診療のリアルとデジタル化
💬 院長
「では、とりあえず1回してみましょうか。」
😏 私
「ここで“いいえ”とは言えないのが、自由診療の怖さだな。」
💬 ランディ君
「初診料1,100円が発生する構造を踏まえると、離脱コストが最初から組み込まれています。」
施術前、顔の写真を3方向からパソコンのカメラで撮影。すべてがデジタルで記録されていく。だが、保険診療についての説明は一切なし。
😏 私
「自由診療とは、自由に利益設計できる診療でもあるのだな。」
💬 ランディ君
「医療の現場というより、収益モデルのショールームですね。」
施術室、そして“パチパチ”の世界へ
施術室に案内されると、そこは無音のようでいて、どこかで“パチパチ”という音が響く。
隣室でも施術が行われているらしい。
目には覆いをされ、光も見えない。聴覚と嗅覚だけが働く世界だ。
最初に顔全体へ「美顔レーザー」を照射。
パチパチと軽い電撃のような刺激が走り、焦げた匂いが漂う。
次に“シミ取りレーザー”が登場。
看護師が淡々と操作しながら、「ここにもありますね」と言いながら、ほぼ顔全体を照射していく。
看護師に顔中のシミを取るのが「取り放題」の意味か聞くと、「そうです」との返事。
ただし、この治療法は弱めなので、肌の状況を見て数回行う必要があると説明を受けた。
😏 私
「私には、こんなにシミがあったのか…。」
💬 ランディ君
「観測範囲を拡大しただけです。存在は以前からでした。」
施術時間は約10分。想像より短い。
痛みも我慢できる範囲だが、肌がヒリヒリと主張している。
最後に炎症を抑える薬を塗って、静かに終幕を迎えた。
精算と“カードの謎”
受付に戻ると、「お支払いは完了しています」とスタッフ。LINEで通知が届いている。
だが、私はセキュリティコードを偽装入力したはず——なぜ支払いが通ったのか。
😏 私
「カード会社と病院、どちらが強いんだろうな。」
💬 ランディ君
「支払いの主導権は常に“システム”側にあります。」
スタッフ曰く、登録カード情報は後で削除できるとのこと。とはいえ、今回は実験も兼ねて放置することにした。
なお、例の“フォロー割”が適用され、初診料、施術費とも20%引きの6,080円。初診料も割引するとは、さすが自由診療だ。
SNSでの割引は来月以降継続未定だという。
つまり、今だけの“初期拡散キャンペーン”。マーケティングの教科書どおりだ。
次回予告:美顔ビジネスの採算構造とは?
次回はいよいよ、コンサルタントとしての“経営分析編”。
この価格でどう利益を確保しているのか?
人件費、地代、回転率——自由診療クリニックのリアルな採算構造を斜めに読み解く。
😏 私
「美顔ビジネスの裏側、見えてきたな。」
💬 ランディ君
「表皮の次は、収益構造の分析ですね。」
コメント