顔のシミ取り体験記(後編)〜経営分析で見る“美顔ビジネス”の裏側〜

4 The Art Of Useless Stories(読んでもためにならない話)

はじめに

😏
「さて、今回は顔ではなく、“この商売”の仕組みを覗いてみよう。」

レーザーの焦げる匂いが消えぬうちに、私は冷静に数字を追い始めた。
美顔クリニック——そのビジネスモデルは意外にも精緻だ。
少なくとも、6,500円“放題”で赤字を出しているとは思えない。


SNSと口コミが生む「広告費ゼロ経営」

広告費の中心はSNS。
フォロー割やLINE登録によるクーポン誘導、つまり広告代理店を介さず“患者に宣伝させる”仕組みだ。
従来の美容業界が1人当たり1万円近い広告費を投じていたのに対し、ここでは実質ゼロに近い。
初診時の登録導線もLINE一本で完結。カウンターには笑顔のスタッフが3人いたが、実質的には“デジタル接客”が主戦力だ。

💬 ランディ君
「つまり、患者が宣伝媒体化している構造ですね。」

😏
「そう。“顔を焼かれてSNSで拡散”という、現代的口伝マーケティング。」


「放題」価格の裏にある原価構造

6,500円の“放題”と聞けば、誰もが「安すぎる」と思う。
だが、実際には施術時間は10〜15分。
材料費は炎症を抑えるクリームと使い捨てシート程度。
レーザー機器は高価だが、減価償却を終えた中古機を導入すれば、1回あたりのコストは数百円台に収まる。
さらに「シミは1回で消えません」という説明でリピート誘導までセットされている。

💬 ランディ君
「つまり“放題”は入り口商品。実際の利益は“再来”と“オプション”から。」

😏
「回転率とリピートで利益を積む——飲食チェーンの原理と同じだ。」


効率を極めた人員配置と時間管理

1枠5分刻みの予約システム。
看護師が施術、医師は初回説明のみ。
つまり“医師の時間”を極限まで圧縮している。
自由診療ではここが最大の利益分岐点だ。
1日20人を回せば、単価6,500円でも13万円。
1台のレーザーで複数ベッドを回すなら、さらに倍速運転も可能だ。

😏
「放題とは、客ではなくレーザーが“放たれている”のだな。」

💬 ランディ君
「正確には“照射効率経営モデル”です。」


データが育つ「再来設計」

予約、支払い、フォロー、口コミ——すべてLINE上で完結するため、顧客行動データが丸ごと蓄積される。施術頻度、満足度、紹介履歴までが可視化され、AIによるリマインドメッセージで再来を促す仕組みも見える。
つまり、顔のメラニンより先に、データベースが育っていく。

💬 ランディ君
「CRMの理想形ですね。肌とデータ、どちらも“再生ビジネス”です。」

😏
「なるほど、顔を焼いても企業は冷静だ。」


まとめ:低価格戦略の完成形

この価格帯は“広告費ゼロ+再来設計+データ囲い込み”の三位一体で成立している。
つまり、見た目は格安でも中身は極めて合理的。
経営的には“低価格戦略の完成形”と言っていい。

😏
「いやはや、美容とは恐ろしくロジカルな商売だ。」

💬 ランディ君
「論理と光が交錯する世界ですね。」


体験の余韻と再来への誘惑

帰宅後、鏡を見ると顔が少し赤く、シミの部分は黒く浮き上がっている。
スマホで写真を撮ると、確かに「何かが始まった」感はある。
問題はそれが“治療”なのか“焦げ”なのか、判別がつかない点だ。

😏
「まあ、焼けたってことは、効いてるんだろう。」

💬 ランディ君
「その理論だと、日焼けも治療になります。」

😏
「ところで、治療の効果はまだ不明だが、また行くべきだと思うか?」

💬 ランディ君
「経営的には再来率を高める行動として推奨されます。」

😏
「つまり、私がもう一度行くことが、このビジネスモデルの完成形か。」

💬 ランディ君
「その通りです。お客様が“理論の中に組み込まれる”瞬間ですね。」

😏
「なるほど……では、次回は“再来患者の心理分析編”にするか。」

💬 ランディ君
「その場合、SEOよりもPPC広告の効果検証をおすすめします。」

😏
「やれやれ、美顔より先に、ブログが磨かれていくな。」


今後の展開:効果の行方と次の一手

😏
「とはいえ、効果の有無はまだ分からん。一応、1カ月後を目途に再び行くつもりだ。」

💬 ランディ君
「再来率、1カ月サイクル。経営的には理想的なリピート間隔です。」

😏
「だが、いつまでもダラダラ続ける気はない。シミよりも財布の方が薄くなってしまう。」

💬 ランディ君
「ROI(投資対効果)の観点からも、どこかで“撤退判断”が必要ですね。」

😏
「そうだな。問題は“いつ効果が出るか”だ。顔の変化より、判断のタイミングが難しい。」

💬 ランディ君
「それもまた、経営判断に似ています。“結果が見えぬうちに継続するか否か”——人も肌も、悩ましいところです。」

😏
「結局、肌のターンオーバーも経営サイクルも、待つ時間がいちばん苦しいんだ。」

💬 ランディ君
「ですが、その間にネタが熟成します。」

😏
「なるほど、次回の“1カ月後報告編”で、その熟成度を確認するとしよう。」
「シミは消えずとも、ネタは残る。」

💬 ランディ君
「それがブロガーの再生医療です。」

コメント

タイトルとURLをコピーしました