導入価格より怖い「維持費」の現実
😏 私
先日、プリンターのインクカートリッジが切れたので、近所の家電量販店に出かけた。
インクを手に取り、ついでに隣に並ぶ本体価格を眺めて、まだやってるの?と思った。
なんと、最新モデルのプリンター本体が「カートリッジとほぼ同じ値段」ではないか!
私の頭の中に、軽快なBGMと共に「なぜだろう〜」というテロップが流れた。
カートリッジが6,000円、本体が8,000円。
もしインクが切れるたびに新品を買った方が安いなら、もはや消耗品とは何なのか。
だが、こういう場面で私がいつも思い出すのは「ランニングコストの魔物」である。
💬 ランディ君
その通りです。
一般的に、プリンターのビジネスモデルは「本体を安く売って、消耗品で利益を出す」構造です。
経済産業省の調査(※1)によれば、家庭用インクジェットプリンターのインクコストは、1mlあたり平均で約3,000円前後。
これは、高級ワインや香水より高いと言われるほどです。
つまり、インクでメーカーが稼ぐ仕組みなのです。
(※1 出典:経済産業省「家庭用プリンター市場調査報告書 2024年版」)
無料の水、0円サーバーの落とし穴
😏 私
なるほど、インクが高級ワインより高いというわけか。
同じ構図は「ウォーターサーバー」にもある。
あの美味しそうな水、最初は「本体0円!送料無料!」などと天国のようなキャッチコピーで迎えてくれるが、数か月後には月額4,000円以上の請求書が届く。
しかも、契約を解除しようとすると「サーバー返送料+違約金」で、逃げ場のない蛇口地獄である。
💬 ランディ君
ウォーターサーバー市場でも同じ構造が見られます。
調査会社MM総研のデータ(※2)によると、家庭・オフィス向けサーバーの月間平均支出は約4,300円。
3年間利用すると、総額15万円を超えます。
導入当初は無料キャンペーンなどで錯覚しますが、実際には固定費の一部として販管費に計上される負担が続きます。
(※2 出典:MM総研「ウォーターサーバー市場動向2024」)
スマホもクラウドも「導入は安く、維持は高く」
😏 私
ふむ、プリンターに水にスマホ。
どうもこの国は「導入時の安さ」で気を引いて、「使い続けるコスト」で締め上げるのが得意らしい。
特に中小企業は、設備投資の際にこの「目先の安さ」に飛びつくことが多い。
パソコン、複合機、ソフトウェア、クラウドサービス。
導入補助金で初期費用は抑えられるが、月々のライセンス料や保守費用が地味に積み重なっていく。
💬 ランディ君
その通りです。
中小企業白書2024年版(※3)では、経常利益率が減少傾向にある企業の共通点として「固定的な間接コストの増加」が指摘されています。
特に、通信費やサブスクリプション契約の増加が大きな要因です。
経営者が「使っている気になって支払っている」費用が、販管費に埋もれてしまう構造になっているのです。
(※3 出典:中小企業庁「中小企業白書2024年版」
スイッチングコストの罠
😏 私
「使っている気になって支払っている」——なんとも的を射た表現だ。
確かに、会計上は“販管費”の中にきれいに埋もれている。
だが、実際には地味なボディブローのように効いてくる。
しかもこの手のコストは、スイッチングコストを高く設計している。
つまり、辞めるのが面倒くさい。
💬 ランディ君
ええ、これは経営学でも「ロックイン効果」と呼ばれます。
解約手数料や再設定費用、あるいはデータ移行コストを高く設定し、顧客を囲い込む戦略です。
クラウドサービスやコピー機リース契約では特に多く見られます。
契約期間中に乗り換えようとすると「違約金+再導入費用」で、結局続けざるを得ない状況に陥ります。
公園が教えてくれる「維持費の設計ミス」
😏 私
まるで一度入ると出られない「会員制迷路」だな。
さて、話は少し飛ぶが、この構図は「町の公園」にも似ている。
立派な遊具と噴水を作り、オープン当初は盛り上がるが、数年もすると雑草が膝まで伸びて、ブランコには錆が浮く。
結局、維持管理費が高くついて放置される。
作った瞬間に終わる公共投資というやつだ。
💬 ランディ君
地方自治体の公園維持費の実態も深刻です。
総務省の統計(※4)によると、全国の公園維持管理費は年間約2,600億円。
しかし、そのうちの約35%が「人件費と除草費」に消えています。
利用者の少ない公園ほど維持費の負担が大きく、長期的には自治体財政を圧迫しています。
(※4 出典:総務省統計局「地方財政状況調査2024」
経営判断は「初期費用」より「総保有コスト(TCO)」
😏 私
つまり、公園もプリンターもサーバーも、本質は同じというわけだ。
導入時の“見栄えの良さ”に踊らされ、後から維持費で泣く。
これを避けるには、「初期費用」ではなく「総保有コスト(TCO)」で判断すべきだろう。
だが、現実にはなかなかそこまで見通す余裕がない。
つい、「いま安いから」と手を出してしまう。
それが経営をじわじわと締め上げる。
💬 ランディ君
TCO(Total Cost of Ownership)という考え方は、製造業ではすでに定着しています。
本体価格だけでなく、メンテナンス費・電気代・廃棄費用まで含めて総合的に判断する指標です。
IT機器や設備導入でも、この考え方を採用することで、長期的なコスト最適化が可能になります。
実際に、TCO分析を導入した企業は、平均で約15〜25%のコスト削減効果があるという報告もあります(※5)。
(※5 出典:IDC Japan「国内中小企業におけるTCO削減の実態2023」)
😏 私
なるほど。
草ぼうぼうの公園を見ながら思う。
あれは放置の象徴ではなく、「維持の設計ミス」の monument なのだ。
経営も同じ。
見た目の導入コストに目を奪われた瞬間から、草は静かに伸び始めている。
ランニングコストを軽んじる会社は、いつか足元から絡め取られる。
まとめ
- 安い導入価格の裏には、必ず高いランニングコストが潜む。
- 販管費に埋もれた固定費が、利益率をじわじわと圧迫する。
- スイッチングコストの高さが「辞められない支出」を生む。
- 公共投資にも同様の構造が見られる。
- 経営判断では「初期費用」よりも「総保有コスト(TCO)」を重視すべき。


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