怒りのメール、AIならどう返す?(ChatGPTで“冷静な返信文”を作る)

1 お酒に関するあれこれ

はじめに — 怒りは早く“冷やす”のが鉄則

😏
「製品の不具合は、納期遅延と並んで顧客の怒りが激しい。
『使えない』『これでどうしろと?』というトーンのメールが来ると、つい言い返したくなるのが人情だが、返し方を誤ると関係が壊れる。」

💬 ランディ君
「怒りのメールは“初動”で大半が決まります。
ChatGPTは“まず冷静に伝える文面”を素早く出せます。
そこから人間らしいフォローを加えるのが最短の被害軽減策です。」

今回は、製品に大きなキズがあった/仕様が違った場面を想定し、山田がChatGPTに何をどのように指示したかを段階的に見ていきます。
記事の中心は二人の会話です。
読みやすく、実務でそのまま使えるテンプレになるようまとめました。


想定クレーム文(海野さんの怒りメール)

山田様

先日納品いただいた部材、届いた箱を開けた瞬間に驚きました。
表面に大きなキズがあり、こちらのラインでは使用できません。
仕様書通りの寸法でもありません。
これでは納品を受け取る意味がありません。

代替品の手配と、今回の対応について至急ご説明ください。
今回の損失については補償を検討させていただきます。

端的で怒りが前面に出たメールです。
対応の速さと誠意が試されます。


Step 1:まずは「冷静・短め」の初稿を出してもらう

😏 私(山田)
「まずは火に油を注がない短い謝罪文を用意してくれ。
詳細は調査中であることと、初期の対応を示すだけで良い。
250字以内で。」

【プロンプト①】
怒りのメールに対して短く、冷静に謝罪と現状説明をする返信メールを作ってください。
条件:
・250字以内
・感情的な表現を避ける
・現在原因を調査中であることを明示
・初動の対応(回収または代替品の手配)を明記
・件名、署名を含める

ChatGPTの出力(初稿)

件名: 納品製品の不良についてのお詫びと対応(初動連絡)

海野様

このたびは、納品の製品に不良がありご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。
現在、社内および製造元にて原因を調査中です。
まずは該当ロットの回収と代替品の手配を進めます。
回収方法と代替品の到着見込みを明日中にご連絡いたします。
取り急ぎのご報告とお詫びまで。

株式会社□□
営業部 山田


😏
「短くて冷静。
怒りの火は鎮められそうだ。
ただ、少し事務的だな—“お客の痛み”に寄り添う一文が欲しい。」

💬 ランディ君
「では、次は“寄り添い”を一文追加しましょう。
感情を増やしすぎないよう注意します。」


Step 2:共感の一文を入れて“温度”を加える

【プロンプト②】
先ほどのメールをベースに、海野様のご不便に対する共感の一文を冒頭に加えてください。
条件:
・謝罪は簡潔に
・共感の一文は1行程度(例:ご不便をおかけし心よりお詫びします)
・全体は300字以内

ChatGPTの出力(改訂版)

件名: 納品製品の不良についてのお詫びと対応(初動連絡)

海野様

このたびは、納品の製品に不良があり多大なご不便をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
現在、社内および製造元にて原因を調査中です。
まずは該当ロットの回収と代替品の手配を進めます。
回収方法と代替品の到着見込みを明日中にご連絡いたします。
取り急ぎのご報告とお詫びまで。

株式会社□□
営業部 山田


😏
「“多大なご不便”という表現が効いてる。
これでトーンは柔らかくなった。
ただ、海野さんが『損失は補償を検討する』って書いてるから、次は補償についての姿勢も示したい。」

💬 ランディ君
「補償の話は慎重に。
『検討します』とだけ書くと逃げに見える。
まずは状況確認→補償方針は追って相談、という順にしましょう。」


Step 3:補償姿勢を示す(ただし断定は避ける)

【プロンプト③】
改訂版の最後に「補償についての姿勢」を一文入れてください。  
条件:
・断定的な補償約束は避ける(まずは調査後協議)
・相手の損失を真摯に受け止める表現にする
・全体を320字以内に収める

ChatGPTの出力(補償言及あり)

件名: 納品製品の不良についてのお詫びと対応(初動連絡)

海野様

このたびは、納品の製品に不良があり多大なご不便をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
現在、社内および製造元にて原因を調査中です。
まずは該当ロットの回収と代替品の手配を進めます。
回収方法と代替品の到着見込みを明日中にご連絡いたします。
また、今回の影響と損失については調査のうえ、速やかに協議させていただきたく存じます。
取り急ぎのご報告とお詫びまで。

株式会社□□
営業部 山田


😏
「いい。
『協議させていただきたく存じます』という文で誠意を示しつつ、確約を避けている。
だが、ここで一手間:海野さんが怒っている理由は“現場が止まること”かもしれない。
代替品の到着見込みだけでなく“暫定対応”の提案も入れよう。」

💬 ランディ君
「暫定対応の提案は得点が高いです。
たとえば『一時的に使える代替品を無償でご提供』など。
ただし在庫やコストが伴うので、社内確認が必要です。
ここでは“暫定的案を提示し、可能なら実行”という形にしましょう。」


Step 4:暫定措置の提案を加える(実行可能性を示唆)

【プロンプト④】
改訂版に「暫定的な対応案(例:代替の部材を無償でお貸し出し・代用案)」を追加してください。
条件:
・「社内確認のうえ」と前置きすることで実行可能性を担保
・代替到着までの暫定措置を一つ明記(例:代用品の無償貸出または応急加工の手配)
・全体を380字以内に抑える

ChatGPTの出力(暫定措置追加)

件名: 納品製品の不良についてのお詫びと対応(初動連絡)

海野様

このたびは、納品の製品に不良があり多大なご不便をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
現在、社内および製造元にて原因を調査中です。
まずは該当ロットの回収と代替品の手配を進めます。
回収方法と代替品の到着見込みを明日中にご連絡いたします。
なお、代替品到着までの暫定措置として、当社内で手配可能な代用品の無償貸出や応急加工の実施について社内で確認し、実行可能な案を併せてご提案いたします。
今回の影響と損失については調査のうえ、速やかに協議させていただきたく存じます。
取り急ぎのご報告とお詫びまで。

株式会社□□
営業部 山田


😏
「完璧に近い。
これで海野さんが『話にならない』とは言わないはずだ。
あとは文章の“見やすさ”を整えて、件名に“初動連絡”ではなく“お詫びと初動対応のご連絡”という言い回しに少しだけ温度を加えよう。」

💬 ランディ君
「件名の工夫は開封率に影響します。
では最終チェックをしましょう。」


最終版(調整済み)

件名: 納品製品の不良について — お詫びと初動対応のご連絡

海野様

このたびは、納品いたしました製品に不良があり、多大なご不便をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
現在、社内および製造元にて原因を調査しております。
まずは該当ロットの回収と代替品の手配を優先して進めます。
回収方法と代替品の到着見込みについては、**明日中(※日付を明記)**に改めてご連絡いたします。

また、代替品到着までの暫定措置として、当社で手配可能な代用品の無償貸出や応急加工の実施について社内確認のうえ、実行可能な案を併せてご提案いたします。
今回の影響と損失については、原因調査の結果を踏まえ速やかに協議させていただきたく存じます。

まずは取り急ぎのご報告とお詫びまで。
何か差し支えなければ、本件の窓口としてお電話で直接状況を伺わせていただけますと幸いです。
(連絡先:03-xxxx-xxxx/山田)

株式会社□□
営業部 山田


😏
「最後に“直接お電話で伺えますと幸いです”を入れたのが良かった。
怒りは書面だとなかなか和らがないから、声で直接話す提案は相手の怒りを早く沈める。」

💬 ランディ君
「対面(電話)でのやり取りは温度を下げる効果があります。
AI生成文に“次の行動”を明記するのは効果的です。」


実務での利用ポイント(チェックリスト)

  1. 初動は短く冷静に。
  2. 共感の一行を入れる。
  3. 具体的な初動対応を示す。
  4. 補償は慎重に触れる。
  5. 暫定措置を提示する。
  6. 電話窓口を提示する。

まとめ

怒りメールは「速やかに・誠実に・具体的に」返信するのが最善。
ChatGPTは「冷却・骨格作成」に向いている。
最終的な温度調整(共感・言い回し・実行可能性確認)は人間が担う。
指示(プロンプト)を段階的に出すことで、初動→温度追加→補償姿勢→暫定対応まで踏んだ、実務的なメールが短時間で仕上がる。

😏
「AIで書いて、人間の声で仕上げる。
これが現代のクレーム処方箋だな。」

💬 ランディ君
「私は常に冷静ですが、温かみのある文章も生成できます。
要は指示の出し方次第です。」

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