【中小企業は“考えなくていい仕事”をAIに渡せるか?】
第1章:AIに「文章の下書き」を任せる
第7話:社内報告メールはAIで建設的にできるのか
※本記事は、2025年に先行公開した
「AIでメールを作成する」実験的連載を、
2026年からの【中小企業は“考えなくていい仕事”をAIに渡せるか?】開始に合わせて再整理したものです。
現在の連載全体像を踏まえたうえで、
メール編の基礎として位置づけています。
はじめに:報告メールの「空気」を変える力
😏 私
社内メールの文面ひとつで、職場の空気がピリッとすることがある。
特に「納期遅れ」「トラブル発生」「ミス報告」。
どう書いてもネガティブに見えてしまう。
ところが最近、ChatGPTを使ってメールを作成してみたら、文章の“温度”が変わった。
冷たくなく、責任転嫁でもなく、建設的なトーンになるのだ。
💬 ランディ君
つまり「伝え方」をAIが補ってくれたということですね。
感情を整える前に、文体を整える。これが冷静な報告の第一歩です。
ChatGPTを「下書き係」にする発想
😏 私
最初のうちは、ChatGPTにいきなり「完成形」を求めていた。
でも、ビジネスメールはそんな単純なものではない。メールには「社内文化」「相手との関係性」「温度感」がある。AIはそれを完璧には読み取れない。
💬 ランディ君
では、どうすれば良かったのですか?
😏 私
考え方を変えたんだ。ChatGPTは“下書き係”だと思えばいい。
自分の要点をざっくり入れて、AIに文章の「素案」を作ってもらい、それを自分で調整していく。この方が圧倒的に速く、結果的に納得感のあるメールができる。
ステップで考える「建設的メール作成法」
ステップ1:必要最小限の要件を伝える
ChatGPTへの入力は、できるだけ簡潔に。
たとえば次のようなプロンプトで十分だ。
「プロジェクトの納期が1週間遅れることを、社内チームに報告するメールを作ってください。前向きなトーンでお願いします。」
AIは、これだけで骨格を作ってくれる。
実例:ChatGPTでメールをブラッシュアップする過程
ここからは、実際のChatGPTへの指示と、出力されるメール文を再現してみよう。
今回は、**山田(当社担当者)**が、**海野(社内チームリーダー)**に送るメールを想定する。
🧩 ステップ①:初回プロンプト(最小入力)
指示内容(プロンプト)
プロジェクトの納期が1週間遅れることを、社内チームに報告するメールを作ってください。
前向きなトーンでお願いします。
ChatGPTの初回出力(原案)
件名:プロジェクト納期に関するご報告
チームの皆さま
現在進行中のAプロジェクトについて、納期が当初予定より1週間程度遅れる見込みです。
原因は一部資材の調達遅延によるもので、現在、取引先と調整を進めております。スケジュール変更の影響を最小限に抑えるため、作業工程の見直しを行っています。
改訂後の計画を今週中に共有いたしますので、ご確認をお願いします。ご迷惑をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
山田
😏 私
うん、悪くない。でも少し硬いね。これじゃ“お知らせ”止まり。
社内への報告だから、もう少し建設的なニュアンスがほしい。
🧠 ステップ②:指示を加えて再生成
追加指示(プロンプト)
この文を、社内メンバーのモチベーションが下がらないように書き直してください。
「原因」よりも「次のアクション」に重点を置いてください。
ChatGPTの再出力(第2稿)
件名:Aプロジェクト進捗と今後の対応について
チームの皆さま
Aプロジェクトは、資材の納入遅延により納期が1週間ほど後ろ倒しになる見込みです。
現在、調達先と納入スケジュールの前倒しを調整しており、工程全体の再編を進めています。特に、UI設計チームと開発チームのタスクを並行化することで、影響を最小限に抑える予定です。
今週中に新しいスケジュール案を共有し、全体で再確認を行います。一緒にリカバリーを進めていきましょう。引き続きご協力をお願いします。
山田
💬 ランディ君
これは良いですね。「原因」ではなく「行動」で締めているため、読み手が前を向けます。
😏 私
そうそう。ChatGPTの得意分野は、ネガティブ情報を建設的に言い換えること。
でもそのためには、指示内容を丁寧に変えていく必要がある。
✍️ ステップ③:最終調整(語感・温度感)
追加指示(プロンプト)
上記のメールを、もう少し柔らかく、人間味のある文体にしてください。
メール内で“チームとして動いている”雰囲気を出してください。
ChatGPTの最終出力(完成形)
件名:Aプロジェクト進捗の共有と今後の対応について
チームの皆さん
Aプロジェクトについて、資材の納入が遅れており、納期が1週間ほど後ろ倒しになりそうです。
すでに調達先と連携を取りながら、少しでも早くリカバリーできるよう動いています。並行して、設計と開発のタスクを同時進行できるよう調整中です。
新しいスケジュール案を今週中に共有しますので、各チームでの確認とフィードバックをお願いします。少しの遅れはありますが、全体としては前に進んでいます。
引き続き、力を合わせて進めていきましょう。山田
💬 ランディ君
“問題”を“チームの行動”に置き換えることで、文章全体が前向きになりました。
😏 私
そう。これが、ネガティブ報告をポジティブに変えるAI活用のコツだ。
まとめ:ChatGPTは「文体を整える鏡」
- ChatGPTは完成品ではなく「原案担当」として使う
- 必要最小限の要件を伝え、少しずつ指示を追加していく
- 「原因」よりも「次のアクション」に焦点を当てる
- 社内の温度感に合わせて、自分の言葉で整える
😏 私
つまり、AIを使う目的は「手間を省く」じゃない。
「伝わり方を磨く」ことなんだ。
💬 ランディ君
ネガティブをポジティブに変えるのは、AIではなく“指示する人間”の方ですね。
😏 私
うむ。つまり——報告の達人とは、プロンプトの達人でもある、というわけだ。
💬 ランディ君
……それ、スローガンにしますか?
😏 私
いや、ハンコはまだ押すな。
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