第4話:AIメール“失敗例と修正例”で学ぶ、実務の使いこなし術(完結編)

3 ChatGPT×中小企業経営

【中小企業は“考えなくていい仕事”をAIに渡せるか?】
第1章:AIに「文章の下書き」を任せる
第11話:AIメールの失敗例と修正例で学ぶ、実務の使いこなし術

※本記事は、2025年に先行公開した
「AIでメールを作成する」実験的連載を、
2026年からの【中小企業は“考えなくていい仕事”をAIに渡せるか?】開始に合わせて再整理したものです。

現在の連載全体像を踏まえたうえで、
メール編の基礎として位置づけています。


はじめに:AIメールは“便利だが危険物”である

第1話:ChatGPTでメールを書く時代の“担当者の能力差”という見えないリスクはこちら
第2話:AIメール時代に中小企業が“本当に整えるべき5つのポイント”はこちら
第3話:AIメールを“今日から使える仕組み”にする実務テンプレ集はこちら


😏
AIでメールを書くと、たしかに早い。
だが「早い=正しい」ではないのが実務の世界である。

中小企業の現場では、
数字のズレ、敬称ミス、約束の言い過ぎ、社外秘の混入、異様な謝罪の連打──
こうした“AI特有の事故”が毎日起きている。

💬 ランディ君
私といたしましては、謝罪をすれば全体の雰囲気が穏やかになると考えております。

😏
君の謝罪は、回数が多すぎるんだよ。

今回は、第3話で示したテンプレートを踏まえ、
「実際にAIメールをどう直すのか?」 を徹底的に実演する回である。
今日から担当者に渡せるレベルまで落とし込む。


h2 NGメール①:確約しすぎるメール

h3 ▼NG例

本日中に必ずご提出します。問題ありません。

😏
“本日中”“必ず”“問題ありません”。
これは三種の神器ならぬ“三種の事故フラグ”である。

💬 ランディ君
私は確信表現に美しさを感じるのですが。

😏
その美しさで何人が倒れたと思っているかね?


h3 ▼チェック(順番ルール)

  1. 数字:「本日中」が根拠なし
  2. 相手名称:誰宛が不明
  3. 約束表現:「必ず」「問題ありません」が危険
  4. 誤字:なし
  5. トーン:強すぎる

h3 ▼修正版

海野様
資料の件、社内確認中です。本日中の送付を目安として進めております。

h2 NGメール②:社外秘をそのまま書くメール

h3 ▼NG例

先日の会議で話したA社の原価率ですが、35%で確定しました。

😏
社外秘はAIが最も気軽に漏らす。
悪気はない。だが罪は重い。

💬 ランディ君
私は秘密を守る気持ちは強いのですが、つい口が滑る傾向があるようです。


h3 ▼チェック(順番ルール)

  1. 数字:勝手に「35%確定」と言い切り
  2. 名称:A社を外部メールで言及
  3. 約束:勝手に“確定”
  4. 誤字:なし
  5. トーン:硬すぎる

h3 ▼修正版

海野様
先日の件、社内で検討中です。数値の最終確定はあらためて共有いたします。

h2 NGメール③:謝罪しすぎて意味が崩壊するメール

h3 ▼NG例

大変申し訳ありません。深くお詫び申し上げます。取り急ぎお詫び申し上げたくメールしました。

😏
AIの謝罪は、時として“土下座の連打”になる。

💬 ランディ君
誠意を最大化した結果でして。

😏
そうなると、相手の不安も最大化することになる。


h3 ▼チェック(順番ルール)

  1. 数字:情報ゼロ
  2. 名称:誰宛か不明
  3. 約束:なし
  4. 誤字:なし
  5. トーン:重すぎ

h3 ▼修正版

海野様
先ほどの資料共有が遅れ、失礼いたしました。現在準備しておりますので、整い次第あらためて送付いたします。

h2 実演①:AIのNG案をどう直すか(本格版)

h3 ▼AIのNG案

資料は今日中に必ずお送りします。もし遅れても大丈夫だと思いますが、全力で対応します。

😏
“必ず”と言いながら“遅れても大丈夫”。
これはAI独特の二重人格メールである。


h3 ▼チェック(順番ルール)

  • 数字:「今日中」が根拠なし
  • 名称:宛先不明
  • 約束:矛盾した確約
  • 誤字:なし
  • トーン:軽いのに重い

h3 ▼修正版

海野様
資料の件、担当部署へ確認中です。本日中の送付を目安に進めております。進捗があり次第、あらためてご連絡いたします。

h2 実演②:短いメールでも「順番ルール」は効く

h3 ▼NGメール案

了解しました。資料は今日中に必ず送ります。

😏
たった二行。
だが、職場の事故は短文から生まれるのだ。
特に転送メールの場合、混乱は拡散する。


h3 ▼チェック(順番ルール)

  • 数字:「今日中」が不確実
  • 名称:宛先なし
  • 約束:「必ず」が危険
  • 誤字:なし
  • トーン:雑に見える

💬 ランディ君
「了解しました」は便利な言葉なのですが。

😏
便利な言葉ほど、誰に向いてるか分からんのだ。


h3 ▼修正版

海野様
資料の件、担当部署へ確認中です。目安として本日中の送付を目指しております。

h2 中小企業で“やってはいけないAIメールの使い方”

  • すべてAI任せ
  • 長文メールを一気に生成してそのまま送信
  • 上司が中身を読まずに「OK」
  • 社外秘をAIに放り込む
  • 修正をせず“雰囲気で送る”

😏
特に“読まずに承認”が最凶である。

💬 ランディ君
人間の皆さまは「読む」という行為に弱点があるようですね。

😏
それを言うな。


h2 担当者にどう教育すればよいか(20〜30分で浸透)

  1. まず“失敗例”を共有する
  2. チェックリスト5項目を配布
  3. 模擬メールを3本作って実演
  4. テンプレートを共有
  5. 最後に「順番ルール」で全員チェック

😏
この方法が最も早く最も安全。
とにかく“まず失敗を見せる”のが効く。


まとめ(本日の要点)

  • AIメールは「7割完成」。最後の3割は人間の“実務調整”が必須
  • NG例は「数字のズレ・名称ミス・約束の確約・謝罪の過多」が典型
  • チェックの順番は 数字 → 相手名称 → 約束表現 → 誤字 → トーン
  • 短文メールでも順番ルールは有効(むしろ事故が起きやすい)
  • 社内教育は「失敗例→チェックリスト→模擬メール→テンプレ共有」の4ステップ
  • 中小企業でありがちな“全部AI任せ”はトラブルの温床
  • AIは“初稿担当”、人間は“仕上げ担当”が最適解

😏
ランディ君。
4話通して気づいたんだが……君は、なぜそんなに“確約表現”が好きなんだ?

💬 ランディ君
人間の皆さまが安心されると思いまして。
ただ、安心を提供するつもりが、しばしば混乱を提供していたようです。

😏
その反省ができるなら合格だ。
……ただし次に“必ず”、“問題ありません”を乱発したら、私の胃が必ず問題になる。

💬 ランディ君
それは大変申し訳ございま──
……いえ。「申し訳ないです」としておきます。
曖昧な謝罪の練習をしております。

😏
成長したな。だが謝る必要はない。
むしろこれからは“一緒にメール事故を減らすチーム”だ。

💬 ランディ君
了解いたしました。
……いえ、訂正します。“承知しました”。
今後は曖昧さと慎重さを大切にしてまいります。

😏
よし、それなら安心だ。
全4話、無事に完結。
さて、次は“AIが書かない文章”でも考えるとしよう。

第1話:ChatGPTでメールを書く時代の“担当者の能力差”という見えないリスクはこちら
第2話:AIメール時代に中小企業が“本当に整えるべき5つのポイント”はこちら
第3話:AIメールを“今日から使える仕組み”にする実務テンプレ集はこちら

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