清酒・第1話
私たちはなぜ「純米」と「アル添」で迷うのか

1 お酒に関するあれこれ

😏
酒屋で日本酒の棚に立つと、なぜかこちらの背筋まで正される。
「純米」の文字には安心感があり、「アルコール添加」と聞くと、ほんの一瞬、説明を求めたくなる。

けれどラベルを見ても、その酒がどんな味なのかは相変わらず想像するしかない。
原料は書いてある。
でも、答えは書いていない。

💬 ランディ君
その違和感の正体は、多くの方が「清酒」という言葉に、想像以上の意味を乗せていることにあります。
まずは、酒税法における清酒の定義から見てみましょう。


酒税法が定める清酒は「思った以上に広い」

💬 ランディ君
酒税法では、清酒は
「米・米こうじ・水を原料として発酵させた酒」
を基本としています。

ただし、ここで重要なのは、それ“だけ”とは書かれていない点です。

😏
おや、雲行きが怪しくなってきた。

💬 ランディ君
酒税法上、清酒には次のような原料・製法が認められています。

・米、米こうじ、水
・一定条件下でのアルコール添加
・糖類や酸味料の使用

つまり、清酒とは「米だけで造る酒」だけを指す言葉ではありません。

😏
なるほど。
清酒という器は、思っていたよりずっと大きい。


アルコール添加で量が増えるという制度上の事実

💬 ランディ君
清酒は、発酵で自然に生まれるアルコール度数だけでなく、後からアルコールを加えることが制度上認められています。

計算上の話になりますが、アルコール添加を最大限に用いると、もとの酒の量は約2.5倍まで増やすことが可能です。

😏
2.5倍。
数字にすると、なかなかの破壊力だ。

💬 ランディ君
ただし、これは水で薄めているという意味ではありません。
添加されるのは水ではなく、アルコールです。


なぜアルコール添加は認められてきたのか

💬 ランディ君
歴史的には、アルコール添加には現実的な理由がありました。

・保存性を高める
・戦後の供給不足を補う
・酒質を安定させる

といった事情です。

😏
つまり、制度としては量も設計も想定内だったわけだ。

💬 ランディ君
はい。
現代では、香りを立たせる、味の輪郭を整えるといった目的で使われることもあります。
ここでも、良い悪いではなく、制度上そうなっているという話です。


糖類や酸味料も「清酒」になるという現実

😏
アルコールだけでも十分に広かったが、さらに糖類や酸味料まで来た。

💬 ランディ君
酒税法上は、糖類や酸味料を使用した清酒も、清酒として成立します。
これは甘口にする、味を整えるといった技術的理由によるものです。

😏
ということは、「清酒」という名前から、自然派だとか、伝統だとかを読み取ろうとするのは、そもそも無理があるのかもしれない。

💬 ランディ君
そのとおりです。
清酒の定義は、味や品質を保証する仕組みではありません。


法律の定義と私たちのイメージがズレる理由

😏
ここまで来ると、ようやく腑に落ちてくる。
ラベルを見ても「結局どんな酒なのか分からない」理由が。

💬 ランディ君
清酒という言葉は、制度上の分類であって、消費者の期待を満たす説明書ではありません。

同じ「清酒」という枠の中に、

・原料
・造り方
・設計思想

が大きく異なる酒が共存しています。

😏
なるほど。
清酒とは、思っていたより自由度の高い酒だった。


法律から見た「清酒」を整理しておく

💬 ランディ君
今回のポイントを整理します。

・清酒は、酒税法上きわめて幅の広い定義を持つ
・純米系と、アルコール添加を認める系がある
・糖類や酸味料の使用も制度上は可能
・アルコール添加を使うと、量は計算上最大約2.5倍になる
・清酒の定義は、味や品質を保証するものではない

😏
つまり――
私たちが信じてきた「清酒らしさ」は、法律が保証したものではなかった。

💬 ランディ君
次回は、なぜラベルを見てもそれが分かりにくいのか。
制度と表示の関係を、もう一段整理します。

😏
誤解は、どうやらまだ酔いが回る前の段階らしい。
――次回【清酒・第2話】へ続く。


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