JL728便 バンコク→関空 搭乗記 機内編(前編)

4 The Art Of Useless Stories(読んでもためにならない話)

―― FSCという名の、理性崩壊装置 ――


深夜便JL728、FSCの強気な時間感覚

😏
出発ゲートに着いたとき、私は少し拍子抜けしていた。
深夜便、しかも元日はとうに過ぎた1月某日。
もっと人が溢れていると思ったのだが、思ったほど乗客はいない。
ところが搭乗開始時刻を見て、私はひとり頷いた。

搭乗開始は0時55分。
出発は1時10分。
つまり、出発15分前に搭乗開始である。

「なんたる強気」
「これがFSCなのか」

定刻運航という概念を、筋肉でねじ伏せに来ている。

💬 ランディ君
合理的ですね。
FSCにおける深夜国際線は「搭乗=作業」「離陸=成果物」です。
余白を削ることで遅延リスクを最小化し、KPI達成率を高めています。
感情は不要です。


後方座席とFSCの装備差

😏
つまり、早く乗って、とっとと座れ!という事か。
さすがFSCは違う。

私はよほど急ぎでない限り、後方席を予約する。
理由は単純で、搭乗が早いからだ。
この日は2-4-2配列。
席には毛布、枕、イヤホンが最初から鎮座している。

LCCに乗って初めて、このありがたみが骨身に染みる。
人は、失ってから学ぶ生き物である。

💬 ランディ君
比較優位が発生しています。
LCC体験によりFSCの付加価値が可視化され、満足度が相対的に上昇しています。
これは典型的な行動経済学的効果です。


「夜通し起きていても良い」という公式許可

😏
なるほど。
つまり私は、安さで心を鍛え、高さで心を溶かす修行僧というわけだ。

荷物を収納し、私はすぐトイレへ向かおうとした。
ところが最後尾に、トイレがない。
どうやら中央部に集約されているらしい。

私の横の通路にトイレ待ちの列ができない。
それだけで良しとしよう。
人間、期待値を下げれば幸福度は上がる。

そして、定刻通りに離陸。
この時点で私は、JALと事前にやり取りした内容を思い出していた。

飛行時間は約5時間。
離陸後にドリンクサービス。
着陸前に朝食。
食べ物の機内持ち込み可。

条件は揃っている。
つまりこれは、「夜通し起きていても良い」という公式許可である。

💬 ランディ君
論理的には誤りです。
「起きていても良い」と「飲み続けて良い」は同義ではありません。
その飛躍が事故を生みます。


機内宴会、準備はすでに整っている

😏
安心してほしい。
私は呑み助だが、酒飲みのルールはわきまえている。

酔う原因は二つ。
すきっ腹で飲むこと。
水を飲まず、酒だけを飲むこと。

この二つは絶対にやらない。
これは信条であり、信仰であり、保険である。


宴の準備は、静かに始まる

😏
シートベルトサインが消える。
宴の始まりだ。

私はまず、腰の周りに毛布を巻いた。
毛布は体を温めるだけの道具ではない。
「万が一」を吸収する緩衝材でもある。

次にテーブルを出し、事前に買ったチャーハンを配置する。
匂いが少なく、周囲の胃袋を刺激しない。
機内食マナーとしては、上級者の部類だ。

そこへ客室乗務員さんが水を配りに来る。
ありがたく受け取る。

準備は整った。

💬 ランディ君
事前準備・リスク分散・段階的投入。
非常に理にかなった飲酒プロセスです。
ただし最終成果物が「記憶欠損」でないことを祈ります。

😏
縁起でもないことを言うな。
人は祈られると、逆に調子に乗る。


後方席という、危険な立地条件

😏
機内サービスは前方から来るため、後方席は最後だ。
だが斜め後ろがギャレーなので、お替りがしやすい。

私は早速、日本酒とビールを注文した。
アサヒスーパードライと、白鶴の大吟醸。

JALに白鶴。
紅白の鶴。
これはもう、縁起物である。

チャーハンとビールの相性も良い。
そして一週間ぶりの日本酒は、理性を溶かす。

水と日本酒を交互に、チビチビ。
やがてゴミ回収が来たので、日本酒と水をお替り。

消灯後も、映画を見ながらチビチビ。
1時間後、日本酒2合とビール350mlが消えた。

モニターを見る。
到着まで、あと3時間20分。

ペース配分が見える。
ありがたい。
さすがFSCである。

💬 ランディ君
残り時間を把握することで、行動制御が可能になります。
これは人類が時計を発明して以来の進歩です。

😏
つまり、私は文明の恩恵で飲んでいる。
罪はない。


―― だが、FSCの本領は、ここからだった。
——後編につづく。

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