果実酒(ワイン)・第3話/完結編
この表示を見たら、普通こう思う

1 お酒に関するあれこれ

― 誤解はどこから生まれるのか ―


表示を見る:ワインには砂糖が書いていない

😏
ワインのラベルを見る。
原料表示はだいたい、こうだ。

ぶどう
酸化防止剤(亜硫酸塩)

――以上。
ずいぶんと潔い。

少なくとも、砂糖という文字は見当たらない。
だから私は、こう思ってきた。

ワインは、ぶどうだけでできている。
余計なものは入っていない。
発酵とは、そういうものだ。

😏
だが、ふと立ち止まる。
あれ?
補糖って、なかったっけ?


消費者の自然な解釈:書いてないなら入ってない

😏
食品表示法に慣れた消費者の目で見れば、
原料表示は中身の説明だ。

書いていない=入っていない。
これはもう、条件反射に近い。

しかもワインの場合、
ぶどうの国産・輸入については、やたら厳しい。

国産ワイン
国内製造ワイン
輸入原料使用

ここは細かく、実にうるさい。
産地は重要。
それは分かる。

😏
だからこそ、疑問が湧く。

なぜ、
ぶどうの出自はここまで厳しいのに、
補糖の有無は、ここまで静かなんだ?


制度上は別の可能性もある:補糖しても書かない

💬 ランディ君
ワインでは、発酵を助ける目的で糖分を加える場合があります。
いわゆる補糖です。

😏
やっぱりあるじゃないか。

💬 ランディ君
ただし、その糖分は発酵過程でアルコールに変わります。
最終的に製品中に砂糖として残るわけではありません。

😏
理屈は分かる。
分かるが、それは制度の話だ。

😏
そもそもだ。
ワインは、ぶどうに含まれる糖でアルコールができる。
だから糖度の高いぶどうは、品質の条件の一つとされてきた。

😏
ということはだ。
補糖をするという行為そのものが、
ぶどうの糖度、つまりブドウの品質を補っているのではないか?
という疑問が浮かぶのは、自然じゃないか?

💬 ランディ君
補糖の有無や量が、必ずしもぶどうの品質の良し悪しを直接示すわけではありません。

😏
分かっている。
だが消費者は、そこまで割り切れない。

😏
糖度が足りないから足す。
そう聞けば、
「それって、足りなかったってこと?」
と思ってしまう。

💬 ランディ君
原料表示は、製造過程の評価を示すものではありません。

😏
つまり、
評価は書かない。
だが行為も書かない。

💬 ランディ君
原料表示は、製造過程の全履歴を説明するものではありません。

😏
出た。
正論二連発。


表示しないのは、したくないからではないのか

😏
ここで、さらにひねくれた疑問が湧く。

砂糖と書かないのは、
書くと何か不都合があるからではないのか?

💬 ランディ君
制度上、最終製品に残らない原料は表示義務がありません。

😏
つまり、書かなくていいから書かない。
だが、
書きたくない気持ちが混じっていないと、
誰が断言できる?

😏
消費者が知りたいのは、
最終的に残った成分だけじゃない。

その商品に、
何が使われたのか、だ。

😏
アルコールに変わるから書かない。
その理屈で、
消費者の納得が得られるだろうか。

💬 ランディ君
必ずしも、得られない場合があります。

😏
あっさり認めるな。


食品表示法で見た場合の、さらにややこしい話

😏
さらに話はこじれる。

もし食品表示法の感覚で見ると、
補糖の表示が問題になるのは、
主に日本ワインだ。

💬 ランディ君
輸入ワインには、補糖の表示義務はありません。

😏
一方で、
濃縮果汁を原料とするワインもある。

💬 ランディ君
濃縮果汁は、還元率を計算すれば、
実質的に補糖が不要な場合があります。

😏
つまり、
補糖していなくても、
糖は多い。

😏
そして、日本ワイン。

💬 ランディ君
日本ワインは、気候条件などから、
補糖を行うケースが多いのが実情です。

😏
ということはだ。

食品表示法に忠実に考えると、
一番表示しなければならない立場にあるのが、
日本ワイン、という皮肉。


どちらも間違っていない:だから余計にややこしい

😏
ここまで来ると、
誰が悪いのか分からなくなる。

制度は制度として正しい。
造り手も、ルールに従っている。
消費者も、自然に読んでいる。

💬 ランディ君
表示から受ける印象と、製造実態は必ずしも一致しません。

😏
それを今、
これでもかと実感している。


割り切れない結論:正解は用意されていない

😏
ワインの原料表示は、
嘘は書いていない。
だが、全部も書いていない。

😏
補糖の量が重要かどうか、
品質とどう関係するのか、
そこに踏み込む答えは、
表示の中にはない。

💬 ランディ君
どちらも正しい立場です。

😏
一番つらい答えだ。

😏
果実酒(ワイン)編の結論は、これしかない。

割り切るしかない。
納得ではなく、受容。

😏
表示を信じるな、でもない。
制度を疑え、でもない。

そういう構造の上で、
私たちは今日もワインを飲んでいる。


次回予告:泡が出たら全部ビール、ではないらしい

😏
さて、次はもっと分かりやすそうで、
実はさらに混乱する世界に行こう。

黄金色。
泡。
喉ごし。

これだけ揃えば、
誰だってビールだと思う。

💬 ランディ君
どうやら、そう単純ではありません。

😏
……またか。

次回・ビール編。
泡の向こうに、
新しい誤解が待っている。

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