麦酒1 「黄色くて泡が出る酒」を巡る、国税庁とビールメーカーの仁義なき戦い

1 お酒に関するあれこれ

国税庁とビールメーカーの仁義なき戦いの始まり

😏
酒屋の棚で缶ビールを手に取った瞬間、私はいつも軽い眩暈を覚える。
ビール。
発泡酒。
リキュール。
見た目はほぼ同じで、泡も立つ。
だが、税金は違う。
人間関係よりややこしい。

この違いはいったい何なのか。
そして、なぜこんな分類になってしまったのか。
今日は「黄色くて泡が出る酒」を巡る、国税庁とビールメーカーの長い抗争の話をしようと思う。

💬 ランディ君
結論から言えば、すべては酒税法による課税区分の問題です。
日本の酒税は、味や色ではなく「原料」と「製法」で決まります。
その結果、見た目が同じ酒が、別の酒として扱われる状況が生まれました。

😏
なるほど。
味覚より書類。
舌より条文。
いかにも役所的で、私は嫌いではない。



かつて「黄色くて泡が出る酒」はすべてビールだった

😏
かつて、黄色くて泡が出る酒は、ほぼすべて「ビール」だった。
高度経済成長期、街は泡立ち、人々も泡立ち、ビールは飛ぶように売れた。
そこで、じっとその泡を見つめていた組織がある。
国税庁である。

💬 ランディ君
ビールの消費量増加により、酒税収入は国家財政において重要な位置を占めるようになりました。
結果として、ビールの酒税は段階的に引き上げられました。
1990年代には「缶ビールの価格の約3分の1が税金」と言われていました。

😏
ビールを飲むたびに、国家に献金していたわけだ。
酔っていたのは国民だけではなかった。


発泡酒という抜け道の誕生

😏
当然、ビールメーカーも黙ってはいない。
彼らは考えた。
泡を減らすのではない。
麦芽を減らすのだ。

💬 ランディ君
酒税法では、ビールは麦芽比率が一定以上必要と定義されています。
この比率を下げることで、税率の低い「発泡酒」という新しいカテゴリーが生まれました。
1994年、サントリーが「ホップス」を発売したのが最初です。

😏 私
法律の隙間に泡が立った瞬間である。


国税庁の反撃と増税の連鎖

😏
しかし、泡は長くは続かない。
国税庁は泡を見逃さない。

💬 ランディ君
1996年、発泡酒が急成長したことを受け、発泡酒の酒税が引き上げられました。
理由は税収確保です。
これにより、ビールと発泡酒の税率差は縮まりました。

😏
黄色くて泡が出る酒は、みな平等に税を納めよ。
その思想は、どこか清々しい。


発泡酒ブームと市場の変化

😏
だが、人間も企業も、平等が好きとは限らない。

💬 ランディ君
その後も税率差は残っていたため、キリンは「淡麗生」、アサヒは「本生」を発売しました。
2000年代初頭には、発泡酒がビール系市場の約3分の1を占めるまでに成長しました。

😏
ビールは、もはや一人っ子ではなかった。
兄弟が増え、家計は複雑になった。


第三のビールと酒税法改正

😏
国税庁は、再び動く。

💬 ランディ君
2003年に発泡酒はさらに増税されました。
するとメーカーは、麦芽以外の原料を使った「その他の雑酒」「リキュール」に活路を見出します。
これが、いわゆる第三のビールです。

😏
逃げ道を塞げば、別の逃げ道が現れる。
まさにいたちごっこ。


三兄弟確定とその弊害

😏
だが、ついに堰は切られた。

💬 ランディ君
2006年、酒税法が改正され、「その他の雑酒」で黄色くて泡が出る酒を作ることが実質的に不可能になりました。
同時に、発泡酒やリキュールも増税されました。

😏
こうして、三兄弟が確定した。
ビール。
発泡酒。
リキュール。

😏
しかし、この長い抗争には副作用があった。

💬 ランディ君
第一に、メーカーの技術向上により、発泡酒やリキュールの品質が大きく向上しました。
発泡酒やリキュールといったカテゴリーで、消費者の支持を得ました。
結果として、従来のビール市場は縮小しました。

第二に、これらの製品は製造工程が特殊なため、海外ではビールと認められず、輸出が困難です。

😏 私
国内では兄弟。
海外では他人。
酒の世界も世知辛い。


2026年、長い戦いの終着点

😏
そして、2026年。
国税庁は、ついに休戦を宣言する。

💬 ランディ君
2026年に向けて、ビールは減税、発泡酒とリキュールは増税され、税率が統一される予定です。
これにより、32年続いた税制上の不均衡は解消されます。
国税庁とビール系飲料の仁義なき戦いは、一旦休戦です

😏
泡の高さで税を測る時代は、終わるのかもしれない。


まとめ

  • 黄色くて泡が出る酒の分類は、味ではなく酒税法によって決まっている。
  • ビール増税をきっかけに、発泡酒、リキュールが誕生した。
  • 国税庁とビールメーカーの攻防は約30年以上続いた。
  • 技術革新により、発泡酒やリキュールの品質は大きく向上した。
  • 2026年に税率が統一され、長い抗争は一区切りを迎える。

次回予告

😏
さて、ランディ君。
次は何を話そうか。

💬 ランディ君
次回は、酒税法上で「黄色くて泡が出る酒」がどのように定義されているのかを、条文ベースで整理すると良いと思います。

😏
条文か。
泡より堅いが、避けては通れない。
では次回、法律の泡を一緒に覗いてみよう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました