はじめに
😏 私
清水寺までの道で、寄り道に次ぐ寄り道を繰り返した話を前回した(→ 清水寺までの寄り道が教えてくれること)。甘味処に吸い寄せられ、冷酒の看板に足を止め、気づけば本堂にたどり着くころには財布も体力も底をついていた。しかし、あのときの寄り道は「楽しいが代償もある」典型だった。
今回のテーマ「節税」も、どうも似ている。ちょっと得した気分になるが、経営の本筋を外れると、かえって損をする。要するに、冷酒の誘惑と同じ匂いがするのである。
💬 ランディ君
おっしゃる通りです。節税対策は適切に行えば有効ですが、やり過ぎると「経営判断の寄り道」になります。国税庁の資料でも「租税特別措置の利用には要件があり、誤用すると追徴課税の可能性がある」と注意されています(出典:国税庁『租税特別措置法』2024年度版)。
節税が「寄り道」になってしまうパターン
💬 ランディ君
清水寺の参道で冷酒を飲みすぎるように、節税も度が過ぎると本来の目的から外れます。代表的な例は次のとおりです。
1. 過度な節税スキーム
複雑な仕組みを導入するために顧問料や管理コストが膨らみ、結果的に節税効果を打ち消す。
2. 税制改正リスク
2024年度の税制改正では、中小企業投資促進税制が縮小されました(出典:財務省「令和6年度税制改正」)。今有効でも将来は逆効果になる場合があります。
3. 専門家任せの思考停止
税理士が提案する節税策が必ずしも自社のキャッシュフローに合うとは限りません。
4. キャッシュフロー軽視
節税は利益を減らす行為でもあります。経済産業省『中小企業白書2023』によると、資金繰り悪化が原因の倒産は全体の約3割を占めています(出典:中小企業庁『2023年版中小企業白書』)。
😏 私
なるほど。寄り道先の冷酒は「その場の涼しさ」はくれるが、飲みすぎれば帰り道がしんどくなる。節税もまた「気持ちよさ」の裏に、思わぬ疲労や出費を潜ませているわけだ。
正しい道を歩くための工夫
💬 ランディ君
前回の「寄り道の効用」同様、節税も「使い方」次第です。
- 目的を明確に:節税は目的ではなく経営を良くする手段。
- コストと効果の比較:節税額より維持費や手間が上回らないかを確認。
- 将来の制度変更に備える:税制は毎年変わるので柔軟に。
- 専門家の意見を鵜呑みにしない:理解してこそリスクを抑えられる。
- キャッシュフロー最優先:節税で手元資金を減らしては本末転倒。
😏 私
つまり、冷酒は一合まで、寄り道は一か所まで、節税はキャッシュが潤う範囲まで、ということだな。これなら清水寺の舞台から飛び降りずに済みそうだ。
まとめ
- 節税は寄り道に似ている。楽しく思えても、過ぎれば経営の本筋から外れる。
- 制度改正や管理コストを無視すると、せっかくの節税も無駄になる。
- 最後に残るのは「キャッシュフロー」。寄り道で財布が空になる前に、冷静に見極めることが肝要。
😏 私
経営も人生も寄り道は楽しい。ただし財布の残高と肝臓の健康を忘れなければ、である。
次回(9/9)は、さらに“寄り道節税の落とし穴”を深掘りします。
コメント