前回の振り返り
前編はこちら→【前編】日本酒は本当に悪酔いするのか?(科学で探る酒の真実)
前編では「本当に日本酒は悪酔いしやすいのか」を科学的に分析しました。
アルコールそのものの代謝や、飲み方の影響など、科学的に根拠が乏しい面もあることを確認しました。
しかし、ランディ君から「歴史的には悪酔いの背景がある」との指摘がありました。
今回はその続きを、江戸時代から戦後にかけての日本酒の歩みをたどりながら考えていきます。
江戸時代の保存事情
💬 ランディ君
江戸時代の酒は保存が難しかったんです。
冷蔵も殺菌もなく、火入れもまだ一般的ではなかったため、輸送中に酸っぱくなったり腐ったりすることが多かった。
そんな酒を飲めば、酔いが重くなるのも当然です。
(参考:国税庁 日本酒の歴史)
😏 私
つまり昔の酒は、現代でいえば“常温放置の牛乳”を飲むようなものか。
そりゃあ胃も肝臓も大騒ぎだな。
💬 ランディ君
その通りです。
江戸時代の庶民が楽しんでいた酒は、しばしば「日持ちしない贅沢品」でもありました。
時間が経つほど酸味が強まり、アルコールだけでなく変質した成分が体に負担をかけたのです。
😏 私
なるほど……悪酔いというより、むしろ“食中毒一歩手前”だったかもしれんな。
精米技術の未熟さ
💬 ランディ君
加えて、精米技術が未熟でした。
米の外側にあるタンパク質や脂質を十分に削れず、雑味や不純物が多く残ってしまった。
そのため味わいは重く、悪酔いしやすい要因になったのです。
(参考:日本酒造組合中央会 精米歩合の基礎知識)
😏 私
なるほど。今や“吟醸”や“大吟醸”とありがたがっているが、当時は“雑味フルコース”。
これでは“悪酔い酒”の評判も立つわけだ。
💬 ランディ君
そうですね。今の私たちは「精米歩合40%の大吟醸」などを当たり前に見ていますが、江戸時代はせいぜい70%~80%程度削るのが限界でした。
その分、米の栄養素や脂質も多く残り、発酵過程で複雑な成分が生まれて、飲みごたえはあっても体に優しいとは言えなかったのです。
😏 私
なるほど、当時の日本酒は“豪快で荒々しい酒”。
それはそれで面白そうだが、翌朝は確かに覚悟が必要そうだ。
戦後の三増酒
💬 ランディ君
そして戦後の“悪酔いイメージ”を決定づけたのが“三増酒”です。
戦後の米不足を補うため、アルコールや糖分を添加してかさ増しした酒のことです。
(参考:国税庁 三倍増醸酒の歴史)
😏 私
かさ増し……。つまり“日本酒風飲料”か。
味もキレも薄く、酔いは強い。
これじゃ悪酔い説が広がっても仕方ないな。
💬 ランディ君
当時の日本人にとっては「飲めるだけありがたい」時代でした。
しかし、高度成長期にもこの三増酒が広く出回ったため、若者の間で「日本酒は悪酔いする酒」というイメージが固定されてしまったのです。
😏 私
うーむ、これは完全に“戦後の負の遺産”だな。
本物の純米酒とは別物なのに、同じ「日本酒」として扱われたのが不幸だった。
それでも日本酒が愛され続けた理由
😏 私
だが不思議だな。
そんなに悪酔いの要素が多いのに、日本酒は消えなかった。
💬 ランディ君
それは“うまさ”です。
香り、旨味、そして食事との相性。
日本人の文化や生活に根付いた酒だからこそ、多少の悪評にも耐えてきたのです。
😏 私
つまり、日本酒は“トラブルメーカーだけど憎めない親友”。
翌朝頭痛をくれながらも、また会いたくなる。
なんだか愛おしい存在じゃないか。
💬 ランディ君
現代は技術革新により、保存性も精米も飛躍的に向上しました。
三増酒も姿を消し、今や「純米吟醸」や「生酒」など、多彩な選択肢が楽しめます。
悪酔いリスクは大幅に減り、安心して日本酒を味わえる時代です。
😏 私
なるほど。つまり今は“親友が大人になって帰ってきた時代”。
もう悪酔いの心配をするより、素直にうまさを楽しんだ方が良さそうだな。
まとめ(後編)
- 昔の日本酒は保存性が低く、劣化した酒で悪酔いしやすかった。
- 精米技術が未熟で、不純物が多かった。
- 戦後には“三増酒”が広まり、悪酔いイメージを決定づけた。
- にもかかわらず日本酒は文化と旨さで愛され続けた。
- 現代の技術で“悪酔いリスク”は大幅に減り、今こそ安心して楽しめる。
前編はこちら→【前編】日本酒は本当に悪酔いするのか?(科学で探る酒の真実)


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