◎ロシアのウクライナ侵攻に反対する「戦争反対」デモに意味はあるのか?2/2

社会(society)

前回、日本を含む外国での戦争反対デモは、ロシアのウクライナ侵攻には直接影響を及ぼさないと書きましたが、それでは戦争反対デモに意味はないのでしょうか?

答えは「否」です。
いや、戦争反対デモには非常に意味があります。
ただし、プロ市民や特定の政党支持者ではなく多くの一般市民が参加するデモ、という但し書きがつきますが。

今、多くの小売業には「客様相談窓口」があります。
クレーム対応ではありません。
そこには消費者からの声が、ちろん玉石混交ですが、多数寄せられます。
そして、事業者はクレーマーではない一般消費者の声の意味を考え対応する努力をしています。
ここの手を抜く、いわゆる聞く耳を持たない事業者は知らない間に顧客の支持を失い市場から退場していきます。
岸田首相のいわゆる聞く耳を持つですね。

デモや集会に参加している人は誰に向かって「戦争反対」の声を張り上げているのか知りませんが、今回の多くのデモにはプロ市民や特定の政党支持者ではなく一般市民が多数参加しており、その声はマスコミによって増幅され、政治家の耳に確実に届いています。
日本の政治家は選挙で選ばれるので、自分の得票に関係のない特定の政党支持者の意見には耳を傾けませんが、一般市民である有権者の声には敏感に反応します。
有権者の「ウクライナを救え!戦争反対!」の声に対応する形で、今回政府は欧米に遅れる事数日でロシアへの経済制裁に踏み切ったのです。
多くの地方自治体も負けじとロシア非難決議を採択しました。

地方自治体のロシア非難決議など具体的方策はゼロ、当に言うだけ番長なのですが、地方議員も選挙の時に「私は戦争に反対した」と有権者にアピールするためのパフォーマンスは必要なのです。

1990年のイラク軍のクエート侵攻時に、国内ではクエートを救えデモは殆ど起きませんでした。
野党は武器等の供与は武器輸出三原則に違反すると反対運動を展開し、イラクのクエート侵攻に日本は関わるなという「戦争反対」デモが起きたくらいです。
その結果、日本政府は各国が軍隊を派遣している中、クエートに資金援助を行いましたが自衛隊の派遣も、武器弾薬等の装備品も送っていません。
そして、日本は国際社会から非難され、クエートからも感謝されませんでした。
それに懲りた日本政府は湾岸戦争の時に野党の猛反対を押し切り、ペルシャ湾の機雷除去、欧米の軍艦への燃料補給のための艦船を派遣しました。
出航の時には当然反対派が港に出向いて赤い旗を立て「帰ってくるな!」と声を上げました。

今回、政府はウクライナ軍に対し防弾チョッキなどの自衛隊の軍装品を供与しました。
自衛隊の装備ですから武器弾薬でなくとも戦闘の道具である事には変わりありません。
当然、共産党や立憲民主党などは反対すべきですが、そうすると「ウクライナを救え!」という有権者の声に反する事になり、次回の参議院選で支持が得られない事を承知しているので、誰にも聞こえない小さな声で反対しています。

これが「戦争反対デモ」(プロ市民や特定の政党支持者ではなく多くの一般市民が参加するデモ、という但し書き付)の効果です。
政治家に対して、一般の有権者はこう考えているんだぞ!と知らしめるために「デモ」は最も意味のあるアクションの1つだと私は考えます。

もちろん、今回のデモでも一部の政党やイデオロギー団体が赤い旗を立て「日米安保反対」「憲法改正反対」など自身の主張を「戦争反対」に便乗させてましたが、便乗商法は今の消費者の厳しい目から支持は得られていないようです。

イラクのクエート侵攻から30年、日本人の国際感覚も向上したことをうれしく思います。
もし「ウクライナを救え!戦争反対!」デモが起きなかったら・・・起きても一般市民が参加しないデモだったら、日本政府はウクライナに「安倍のマスク」を供与していた事でしょう。

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