ウクライナがロシアに対して頑強に抵抗しています。
私の顧客である中小企業経営者も今後の状況を不安視しています。
で、次第に他人事でなくなってきたのか、日本は大丈夫なの?と考えるようになり、どこで情報を仕入れたのか、日本の安全保障について論じる人が出てきました。
コンサルタントが顧客と話してはいけない3大話題が、宗教、プロスポーツ、政治です。
この分野は、主義主張が多岐に渡り軽い気持ちで話しても地雷を踏む可能性があるからです。
しかし、ある程度付き合いのある人から質問を受けると、やはりそれなりにこたえる必要があります。
小さいとは言えども社員の生活を預かる経営者です、ウクライナの現状を見て「やっぱり憲法9条は必要だよね」などと言う人はいません。
しかし、戦力の所持が日本の安全保障につながるとは限りません。
そこで私は、こう伝えます。
現状ウクライナは本土決戦状態です。そして日本も侵略戦争を禁じており日本国外での戦闘はできないので、必ず本土決戦になります。
本来、護憲論者は現行憲法では外敵が攻撃して来たら日本は即本土決戦となることを説明すべきですが、みなさん大人なので決して口にはしませんので、日本の場合、戦場がどこになるのかピンと来ない人が多いようです。
で、そこから想像を膨らませ、ウクライナでは難民が200万人出たが日本は島国なので国外に逃げる事は出来ない!とか、ウクライナには防空壕はあるが日本にはない!、果たして日本が攻撃されたらアメリカは助けてくれるのか!とか論じるのですが、私はそうなる前に整理する部分があると考えてます。
それは、日本が島国でウクライナがロシアと国境を接する国という事です。
日本は周りを海に囲まれているため、ウクライナの様に電撃的に敵が領土内に侵入してくることはありません。
みんなが日本を攻める可能性があると考えるあんな国も、こんな国も日本の陸上自衛隊を上回る戦力を一時に上陸させる能力は持っていません。
ロシアがウクライナにした様に日本の沿岸に上陸用艦艇を山ほど配置し、ある日突然上陸する!
何てことは、よほど能天気な作戦参謀も考えないでしょう。
しかも、日本の自衛隊は誰も言わなくても、日本が本土決戦主義であることをわかっているので、当然綿密な上陸阻止計画はあるはずです。
第二次大戦末期のアメリカ軍でも兵力の消耗度合いが高い事から本土上陸を躊躇したくらいですから。
では、敵はどうするかと言うと、国外からミサイルで日本を攻撃するはずです。
しかし、狭いと言っての日本国内に戦力を隠されると、そうそうピンポイント攻撃し日本の戦力を消耗させることはできません。
そこで、これまたアメリカ軍と同じ戦法を使います。
つまり、日本の抵抗する心を折るのです。
日本の大都市に核ミサイルを撃ち込むのが手っ取り早いですが、通常のミサイルでも国民の生活空間を攻撃したら効果はあるはずです。
非難されてら「攻撃した病院は実は核兵器の研究施設だ」と言えばよいのですから。
ミサイルの打ち合い、近代戦でよくお目にかかる戦術です。
実際こうなったら日本はお手上げです。
国外からの攻撃ですから、ミサイルが国内に入ったら迎撃するしかないので、被害は避けられません。
そこで問題となるのが「敵基地攻撃能力」です。
私がここまで説明すると、ほとんどの人が「敵基地攻撃能力は必要だね♡」と考えるのですが、やはり一筋縄には行きません。
現在、ウクライナはロシアを攻撃していません。
いくら、戦力に差があると言っても、陸続きなのですから1発くらいロシアに反撃してもよさそうなのですが、なぜかそれをしない。
なぜかな~と考えると、理由を2つ思いつきました。
1つはロシアにウクライナ攻撃の口実を与える事です。
ロシアは今、ウクライナ侵攻を「特殊軍事作戦」と言って攻撃とは言っていません。
やはり「攻撃」という理由がないのでしょう。
しかし、ウクライナ軍から砲弾が1発でもロシア国内に打たれたら(民間施設を破壊したらもってこいですが?)ロシアは正々堂々ウクライナに「反撃」ができます。
ロシアに攻撃の口実を与えないためにも、ウクライナはロシア攻撃が出来ないのです。
2つ目は、ウクライナがロシアを攻撃すると、両国は戦争状態になることです。
今、ウクライナはロシアから侵攻され、一方的に攻撃されているので、西欧諸国は「被害者」ウクライナを支援し、ロシアに経済制裁を実施しています。
しかし、両国が戦争状態になった場合そのロジックは崩れ、ウクライナへの支援も変化が起きるでしょう。
日本もロシアを攻撃する国に防弾チョッキを送ることは、戦争援助になると反対する人が必ず出てくるはずです。
日本が外国から攻撃された場合、アメリカが喜んで参戦するなんてことは絶対ありません。
ウクライナでもわかるように、「第三次世界大戦を回避する」ため軍事支援を拒否しています。
おそらく、今回のプランが成功したら、今後アメリカは他国の紛争に対し同様なプロセスを取ると思います。
なので日本は攻撃された場合、アメリカに言い訳させずに日本の紛争に巻き込む必要がありますが、敵基地攻撃はアメリカにとって日本に軍事支援を行わない最高の口実になります。
「敵基地攻撃」意外と難しい話です。
そんな説明をしたところ、社長がポロリ、
「そう考えると、戦力などは持たず、攻撃されたら直ぐに降伏するのが、最善の方法かもしれませんね」
ん~ん本当に難しい。
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