関税は10%なのに、なぜ社長は困っていないのか?

2 経営を取り巻くお金の話

(円安が関税ダメージを見えにくくしている仕組みの話)

😏
最近どうも、世の中の社長さんたちが落ち着いている。
ニュースでは「関税」「保護主義」「トランプ関税」と、物騒な単語が飛び交っているのに、喫茶店で会う社長はだいたいこう言う。
「まあ…確かに関税はあるけど、思ったほどじゃないよ」
この“思ったほどじゃない”という言葉ほど、経営判断を誤らせる魔法の呪文はない。

💬 ランディ君
データで整理すると、その感覚には理由があります。
今回は「値引き要求」と「為替差益」の関係として説明できます。

😏
なるほど。
つまり今日は、関税の話をしながら、実際は中小企業の日常風景を眺める回というわけだ。
難しい話のふりをした、だいぶ俗っぽい話になりそうで安心した。


■ よくある日常① 得意先からの値引き要求

💬 ランディ君
まず、よくある場面です。
得意先からこう言われます。
「今回、仕入れ価格を10%下げてもらえませんか?」
これは輸出で言えば、関税10%を吸収してくれという要求と同じ構造です。

😏
社長の胃が、ここで一段階キリキリするやつだ。
10%という数字は、会議室では軽く、決算書では重い。

💬 ランディ君
通常であれば、そのまま受けると利益が10%削られます。
しかし、今回は別の要素がありました。


■ よくある日常② なぜか原価が下がった月

💬 ランディ君
同じ月に、こういうことが起きます。
・為替が円安に動いた
・材料の仕入れ条件が改善した
・外注が減って内製化できた

今回は為替です。
輸出価格1,000ドル、関税10%。
円相場が1ドル=150円から160円に動いたとします。

😏
社長の脳内で、警報音が一瞬止まる瞬間だ。
「値下げ? まあ、今月は何とかなりそうだな」と。

💬 ランディ君
具体的に計算します。

【円安前】
輸出価格:1,000ドル
売上:150,000円

【円安後】
関税込み1,000ドルに抑えるため、輸出価格を約910ドルに値下げ。
売上:910ドル × 160円 = 145,600円

売上減少は約3%です。

😏
10%値下げしたはずなのに、帳簿の上では3%しか減っていない。
社長が「意外と軽傷だな」と言い出す条件が、ここに全部そろっている。


■ なぜ「関税は大したことない」と感じてしまうのか

💬 ランディ君
ポイントはここです。
関税10%は確実に存在しています。
ただし、円安による為替差益が、その大部分を相殺しています。

😏
骨は折れているが、痛み止めが効いている状態だ。
医者に行かずにゴルフに行く人が、一番危ない。

💬 ランディ君
実際、日本の輸出企業の多くは
「関税+円安」
をセットで経験しています。
そのため、関税単体のダメージが見えにくくなっています。

😏
敵が見えないと、人は勝った気になる。
これは戦争でも、経営でも、だいたい同じだ。


■ 円安が消えたら、何が起きるか

💬 ランディ君
仮に為替が1ドル=130円に戻った場合、同じ910ドルの輸出では
売上は118,300円になります。
これは円安前と比べて約21%減です。

😏
ここで社長は、初めて気づく。
「あれ、関税って…こんなに重かったっけ?」
気づく頃には、だいたい手遅れだ。


■ この話の本質

💬 ランディ君
今回の構造を整理するとこうなります。
・関税=値引き要求
・円安=たまたま下がった原価
・現在の利益=実力+運

😏
運で勝っている試合ほど、人は戦術を見直さない。
そして次の試合で、大抵派手に負けるものだ。


まとめ

  • 関税10%は、数字通りの重さを持って存在している。
  • 円安は、その重さを一時的に軽く見せているだけ。
  • 値下げしても利益が残ったのは、為替という偶然のおかげ。
  • 為替が逆に動けば、関税の重さは一気に表に出る。
  • 今の利益が「実力か、追い風か」を分けて考える必要がある。

😏
結局のところ、今うまくいっている理由を、きちんと言語化できない会社は危ない。
円安に感謝するのはいいが、信用してはいけない。

💬 ランディ君
為替は味方ではなく、環境要因です。
関税は制度であり、消えてはいません。

😏
つまり今日の教訓はこうだ。
「値下げ要求に耐えられたのは、体力ではなく、風向きだった」

💬 ランディ君
その風が止まった時の準備が、経営判断になります。

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